心身をリラックスさせ癒しへと導く、水中ボディワークとは
~世界水中ボディワーク協会(WABA)認定プラクティショナー、日渡貴子さんインタビュー~
水中ボディワークという言葉を聞いたことがありますか。
水中ボディワークは、心身をリラックスさせ、癒しを促すセラピーの一種です。温かい水の中で、トレーニングを受けたセラピストが受け手の身体を優しく動かし、ストレッチをしたり、ダンスをしたりします。セラピストはまた、呼吸法やマッサージのテクニックを使って、ストレスや緊張を解きほぐす手助けをします。
浮力で体が軽くなる水中では、ゆるやかな動きに地上以上に心地よさを感じられます。
この記事では、世界水中ボディワーク協会(WABA)認定プラクティショナーであり、日本で唯一Healing Danceのプラクティショナーである日渡貴子さんに、水中ボディワークとは何か、どのような効果があるのかなどについてお話をお聞きしました。
●目次
●「水中ボディワーク」とは
―「水中ボディワーク」とはどんなものですか。
水中ボディワークとは、水中、通常は温水プールの中で行われる、穏やかな動きやストレッチを伴ったセラピーのことです。水中ではセラピストがお客さまの身体をサポートし、リラクゼーションへと導いていきます。
水中ボディワークは、受ける人、与える人の心身にセラピー効果、リラックス効果、ヒーリング効果をもたらします。
―日渡さんが水中ボディワークと出会ったきっかけをお聞かせください。
私は小学生で競泳を始め、中学・高校はシンクロナイズドスイミング (アーティスティックスイミング)で福岡県の国体強化選手になりました。幼いころから水やプールに親しんでいたんです。
水中ボディワークに出会ったのは、旅行で訪れた沖縄です。観光案内所で紹介されてWatsuを知り、水中ボディワークの素晴らしさや可能性に惚れ込みました。Watsuは「ワッツ」と読むのですが、「Water Shiatsu」を略したもので、水中ボディワークの一種です。沖縄Watsuセンターは世界水中ボディワーク協会(WABA)の認定を受けている日本唯一の場所だったのですが、そこで日本のWatsu第一人者である小笠原徹氏に師事し、2013年に公認セラピストであるWatsuプロバイダーの資格を取得しました。
その後はアマンリゾート・アマネムでWatsuスペシャリストとして勤務したり、金沢の蒲田クリニック/スコール金沢でセラピスト兼トレーナーとして施術を行ったりしながら、セッションの領域を広げるために水中ボディワークについて学び続けています。2022年には、WABA認定講習を受け、日本国外でもセッションが行えるWatsuプラクティショナーを取得しました。
―日渡さんが日本で唯一の施術者であるHealing Danceについても詳しく教えていただけますか。
Healing Danceは1993年にアレキサンダー・ジョージによって開発された水中セラピーです。後述しますが、水中ボディワークにはいくつかの種類があり、Healing DanceはWatsuやウォーター・ダンス、Trager Work、ダンスの要素を統合した、優雅でパワフルな動きが特徴です。
私はHealing Danceの流動的で美しいセッションに感銘を受け、バリ島で創始者のアレキサンダーや、講師のマイケル・ホラックに師事し、2022年に12月にHealing Danceの日本初、そして唯一の施術者となりました。
Healing Danceは、全身の波の動き、抱擁・リリース・牽引・関節の可動化、マッサージに基づいており、これらすべてが流れの中に織り込まれています。ブロックされたエネルギーは、流体力学的な波と渦巻き・円・8の字の形をした空間的な曼荼羅(まんだら)によって開かれ、身体全体を解放して生き返らせます。動きとタッチがセラピーであるという哲学に基づいているため、体験することで身体の修復プロセスが活性化されます。
自分と向き合い・気づき、魂と身体が繋がる。自分の中心から癒しが沸き上がる究極のトリートメントです。
●「水中ボディワーク」の種類とその効果
―どのような種類があるのでしょうか。
水中ボディワークには、Watsu、Healing Dance、ウォーター・ダンスなどの種類があります。それぞれに独自の哲学とテクニックがありますが、身体、心、精神の調和のとれたつながりを促進するという共通の目標があります。
以下に代表的な水中ボディワークをご紹介します。
- Watsu®
禅指圧と水中での穏やかなストレッチを組み合わせたアクアボディワークの一種。
日本の経絡療法をアメリカで教えていたハロルド・ダール氏が、1980年、その理論を水中に応用して生み出した世界初の水中ボディワークです。
無条件のホールドの空間を作り出し、身体を全体として扱うことを目的としています。
- ウォーター・ダンス
ノーズクリップ(鼻栓)を付けた受け手を水中に沈め、立体的に動かす水中ボディワークの一種。
1990年代にアルヤーナ・ブルンシュヴィラーとペーター・シュレッターによって開発され、Watsu®やその他の影響をベースにしています。
自由、流動性、つながりの感覚を生み出すことを目的としています。
- Healing Dance
水中での動きの芸術的・美的側面に焦点をあてた水中ボディワークの一種。
1993年にアレキサンダー・ジョージによって開発され、Watsu®、ウォーター・ダンス、その他の影響に基づいています。
美しさ、優雅さ、調和の感覚を生み出すことを目的としています。
―メリットを教えていただけますか。
水中ボディワークは、あらゆる年齢層の人々に多くのメリットをもたらします。水中で体を動かしたり、ストレッチしたりすることで血液循環が良くなることはもちろん、消化や免疫システムなど、身体的な健康状態を改善する効果が期待できます。
水中ボディワークが健康にもたらす代表的なメリットをご案内します。
- 心臓をより強く、より効率的にすることで、心臓の健康を改善します
- 心と体を落ち着かせ、ストレスを軽減し、トラウマの解消にも役立ちます
- 水の抵抗に逆らうことで、筋持久力と筋力を向上させます
- 骨や関節、筋肉にかかる負担を軽減し、痛みを和らげます
- さまざまな方法で体をストレッチすることで、柔軟性を高めます
●水中ボディワークはどこで体験できるの?
まず大前提として、日本でWatsuやHealing Danceと名乗り営業ができるセラピストは、WABA(世界水中ボディワーク協会)から認定を受けた人のみです。日本では、沖縄Watsuセンターで資格を取得した人だけが、WABA発行の認定書を取得できます。
WatsuやHealing Danceのセッション最適な環境は、体温に近い水温33-36°Cの不感温度の中です。水深は90-120cmぐらい、可能であればプライベートな空間が望ましいです。
私は現在伊豆でセッションを行っていますが、全国出張も可能です。
沖縄WatsuセンターでWatsuの資格を取得したセラピスト達が、全国で少しずつ利用できるプールを開拓しています。もしかしたら近い将来、皆さんのお近くにセッション可能なプールができるかもしれません。楽しみにお待ちください。
■今回お話をうかがった方
WABA(世界水中ボディワーク協会)認定プラクティショナー/Healing Dance認定プラクティショナー
日渡 貴子 さん
・2013年Watsuプロバイダー取得
・2019年健康運動指導士取得
・2020年全国に広めるためフリーになる
・2022年Watsuプラクティショナー取得
・2022年Healing Danceプラクティショナー取得
・2023年トレガーアプローチ勉強中(2024年資格取得予定)