海と星空に包まれ、朝日と月光に照らされる宿
【北茨城ロハス 磯原シーサイドホテル】
~波音のBGMで疲れを洗い流し、茨城産・有機栽培・手づくりの食事でエネルギーをチャージする~
北茨城の海沿い、古き良き日本の情景が残る里街・磯原町に、大海原と空に包まれ、朝日・月・星に照らされる絶景宿「磯原シーサイドホテル」があります。
全室オーシャンフロントの部屋の眼前に広がるのは太平洋・常磐灘の大海原のパノラマ。寄せては返す潮の音に圧倒される時化の日も、ポツンと絶海の孤島にたどり着いたような静寂に包まれる凪の日も、目の前で移り変わる自然に心を奪われ、癒やされて時は過ぎていきます。
今回は支配人の福田千春さんに「磯原シーサイドホテル」の誕生秘話や特徴、こだわりについてお聞きしました。
●目次
●二ツ島に守られて ~磯原シーサイドホテル誕生秘話~
-まずはこちらのホテルが誕生した経緯をお聞かせいただけますか。
前オーナーがこの場所にホテルをオープンしたのは1987年。事業譲渡を受けて現在の運営体制で新たなスタートを切ったのは2010年11月です。
新体制でスタートした4ヶ月後に、東日本大震災が起こりました。
津波がドーンッ!と押し寄せて海水がホテルの中に流れ込んだのですが、ホテル前の海中にある大岩、「二ツ島」が波を右と左に分けてくれたおかげで、若干は波の力が弱まったようです。ホテルの構造上、海側と国道側に段差があり、海側1階部分の厨房とレストランは浸水しましたが、2階の国道側にあったメイン厨房とレストランはなんとか無事、同じく国道側にあったフロントも津波の被害を免れました。そこで、お客様の安全と安心をご提供できる状態を確認したうえで、電気が復旧した4月1日に、この地域では異例の早さで再開業にこぎ着けました。
再開業後の最初のお客様は工事関係の方々でしたが、水道が復旧していなかったので毎日ペットボトルを買いに行き、お食事もご飯とお漬物だけという状況でした。そこからホテル機能を徐々に回復させていき、通常の観光客をお迎えできるようになるまでには1年半から2年ぐらいかかりました。当時のことをご存じのお客様からは今でも、「よくここまで来たな」というお言葉をいただくことがあります。
●海との距離がゼロの宿
-宿の特徴を一つあげるとしたら何でしょうか。
なんといっても、海との距離が近いことですね。
真下に海岸があるというか、ホテルの建物に波が打ち寄せているようなロケーションで、海が荒れているときはドドーンと音が響きますが、静かな時は静か。ご滞在中はいつも海と共にいるような感覚が味わえます。
ホテルの名物の一つが海から昇る朝日の眺めです。夏は早朝4時半くらいから、冬でも6時30分過ぎから7時ごろにかけて、館内どこからでも朝日を眺められます。新年の初日の出を当館で見るために、毎年ご宿泊なさるリピーターの方もいらっしゃいます。
周辺に街の光が無いので、夜は漆黒の闇の中に月が浮かび上がります。ムーンロードってご存じでしょうか。月光が海面に反射して、自分に向かって差し込む道に見える光景なのですが、当館では月そのものもムーンロードも楽しめますし、雲がない日には夜空に瞬く数えきれない星を眺められます。海をメインに自然を身近に感じ楽しめるロケーションが当ホテルの最大の特徴です。
-館内のどこからでも海が楽しめるということですね。
客室は全30室。その全てが、広大な太平洋の広がりをお楽しみいただけるオーシャン・ビューです。6階建ての3階から6階に客室があり、海との近さは階によって変わるので、海の見え方も波音の聞こえ方もお部屋によって違います。ただ、どのお部屋でも入ったお客様が一番びっくりされるのは、「海がこんなに近いとは思わなかった」ということ。本当に、お部屋の真下に海があるのです。「波の音がうるさくて眠れなかった」というご感想をいただくこともあるぐらい、海との距離が近いです。
(音が気になるお客様向けに、フロントに耳栓を置いています)
客室以外の共有スペースでも、「海との距離がゼロ」の雰囲気を味わっていただけます。
まずはお風呂。館内の浴場は2階にあり、展望風呂といって男女それぞれ別になっています。客室同様に海が真下にありますが、2階ということで客室よりさらに海との距離が近いです。窓を開けてお風呂に入るとザザーッという波の音が聞こえ、海の中でお風呂に入っているような海との一体感が味わえます。
ホテルの屋上にある露天風呂では、見渡す限り広がる太平洋を楽しみながらお湯に浸かることができます。月光が海に描く美しいムーンロードや広大な常盤灘の水平線から昇る朝日。自然を全身で感じられる、抜群の開放感にあふれた温泉です。こちらは男女入れ替え制となっています。
展望風呂も露天風呂も、お湯は敷地内から汲み上げる自家源泉です。湯音が低いので火を入れて温度を調整し、循環させています。
それからラウンジ。もともと中階にあった宴会場を2022年に大幅リニューアルし、「ISOHARAラウンジ」としてお客様専用に開放しています。横幅が18mくらい、奥行きが5m近くあり、海に向かって大きな窓とテラスを設けた開放的なリラクゼーションラウンジです。
ナチュラル感を重視した空間にゆったりと寛げる大型ソファとリラックスチェアを設置したほか、ワーケーションでいらっしゃる方々に向けたワーキングデスクを備えてあります。その他にはダーツやサッカーゲーム、オセロや将棋などの遊具や趣味の雑誌や絵本などを取り揃えていて、お客様がそれぞれに「とっておきのゆるり」を味わっていただける空間です。無料でお愉しみいただける紅茶、デトックスウォーター等もご準備いたしました。この「ISOHARAラウンジ」からも、もちろん右左180度に広がる太平洋が見渡せます。
●茨城を食べ尽くす - オーガニックのフュージョン料理と手づくり朝ごはん
-こだわりのお料理が人気だと伺いましたが、どんなお料理なのでしょうか。
日本料理を基軸として、北茨城の山と海の恵みを活かしたフュージョン料理です。
調理長の政井はずっと和食一筋だったのですが、2019年ごろからローカルガストロノミーに軸にしていて、地産地消に徹底的にこだわり、基本的には茨城県産の食材だけを使っています。
あまり知られていないのですが、茨城県は水産物と農産物の宝庫。ほとんどの野菜や果物、水産物の生産量が全国の5番目くらいには入っていて、四季を通して地元産の食材が手に入ります。当館で使っている県産でないものはオリーブオイルぐらいです。
特に野菜については、ホテル近隣で完全有機栽培の野菜を育てている農家さんに巡り合うことができ、そこから無農薬の野菜だけを仕入れています。比較して食べないと分かりづらいのですが、有機栽培の野菜は味が濃いんですよ。畑から厨房に直接届くシャキシャキの新鮮野菜は、皮から葉っぱまで全部使えます。この野菜を中心に添えながら、地元の魚介やお肉、時には鴨などのジビエも取り入れながら、各国料理の要素を融合させた北茨城フュージョン料理をご提供しています。
朝食はビュッフェ形式ですが、茨城県産の食材に加えて、「手作り」を大事にしています。
お米は契約農家から届く減農薬のもので、お味噌汁は自家製味噌を使用した海の旨味たっぷりの漁師汁。無農薬野菜のサラダには手作りのドレッシング。お惣菜は、野菜そのものが美味しいので、例えばオリーブオイルと塩をかけてグリルするとか、自家製の塩麹や醤油麹で炒めるとか、極力素材が引き立つシンプルな味付けにしています。また、茨城名物の納豆は、お好きなようにカスタマイズできるよう、4種類の自家製のタレと、焼き魚のほぐし身やシラスなど10種類ぐらいのトッピングを用意し、楽しみながら美味しい食べ方を見つけていただける演出をしています。
パンもホームベーカリーを使って添加物の無いパンを作っていますが、それに合わせるバターやジャム、ヨーグルトも自家製です。グラノーラにはナッツの代わりに茨城県産のそばの実を入れてアレンジをすることもあり、手作りすることで茨城の食材の豊かさをお客様にお伝えしたいと思っています。
手前味噌ですが、当ホテルぐらいの規模で、完璧な手作りのオーガニック朝食、夕食を提供している宿泊施設はほとんど無いと思います。全く添加物を使わないのは正直難しいのですが、新鮮な野菜や肉といった素材の力を活かし、そこに昔ながらの発酵食品や保存食の知恵を取り入れて、お客様の心に「おいしい」をお届けしていきたいです。
●冬の楽しみ、あんこう料理
-茨城だからこそ楽しめる、おすすめの限定プランやイベント情報はありますか。
秋冬限定のあんこう料理ですね。あまり知られていないのですが、北茨城はあんこうの名産地。あんこうは「七つ道具」という別名があるぐらい食べられないところがない魚ですが、代表格はお鍋です。
あんこう鍋というと醤油・塩ベースが普通ですが、北茨城で古くから食べられているのは、「どぶ汁」と呼ばれるあんこうの肝をたっぷり使用した濃厚な鍋。もとは漁師が水の無い船の中で、野菜とあん肝の水分だけであんこうをグツグツ煮込んで食べていた料理です。
当館でも、オレンジ色のあん肝がたっぷり入ったドロッとした濃い味のあんこうどぶ汁鍋を中心に、ホクホクのあんこうの唐揚げや供酢和えなどの創作あんこう料理を9月から4月中旬ごろまでご提供しています。
●磯原シーサイドの公式情報
ホテル名:磯原シーサイドホテル
住所:〒319-1541 茨城県北茨城市磯原町磯原二ツ島2550
TEL:0293-42-0213
メールアドレス:[email protected]
アクセス:
【車】
常磐自動車道「北茨城IC」から約6分。
駐車場無料(乗用車で約50台分。大型バスも駐車可能/要予約)。
【電車】
JR常磐線・磯原駅「東口」からタクシーで約5分。
磯原駅へは、品川駅からJR特急ひたちで1時間57分(乗換なし)。
■今回お話をうかがった方
磯原シーサイドホテル 運営統括責任者 福田千春 氏