海と本と琉球ハーブに囲まれて、ゆったりと羽を休める宿
【一棟貸しの会員制ブックホテル 浜比嘉別邸】

~美しい自然が残る島の古民家で、昔ながらの暮らしに身を委ねる体験を~

沖縄で「神の島」と呼ばれる浜比嘉島(はまひがじま)にある一棟貸しのブックホテル「浜比嘉別邸」は、
普段頑張っている方にこそ訪れてほしい、安心して羽を休められる特別な場所です。

昔ながらの自然に寄り添った暮らしが営まれる島で、海や星空を愛で、琉球風水で作られた古い沖縄の邸宅にごろんと寝そべりながら本を読む。
静かに流れる時間のなかで、遊びながら癒やされるひとときがここにはあります。

今回はオーナーの永元氏に、浜比嘉別邸の誕生秘話や浜比嘉島の魅力についてお聞きしました。

●目次

浜比嘉別邸 誕生秘話

こちらのホテルが誕生したきっかけをお聞かせいただけますか。

最初のきっかけは、私が大の離島好きだったことですね。

もともと20年くらい旅行ライターをやっていたのですが、とにかく離島が大好きだったんです。沖縄中の離島を巡ってきて、いざ離島に住もうと考えた時に、候補にあがったのが浜比嘉島でした。浜比嘉島は完全な離島ではなく、沖縄本土から橋で渡れて行き来がしやすいので、離島暮らしで不安に感じる不便さもない。そこで住居を探したところ、100歳のおばあちゃんが住んでいた一軒家と出会い、「ここだ!」という直感があって購入を決めました。

ただ、自分たちのために買ったものの、浜比嘉島に満ちるエネルギーを感じるうちに、「ここはさまざまな人が来て滞在できる場所にした方が良いんじゃないか」と思い始めたんです。コロナ禍で、土に近く呼吸がしやすい自然の中で暮らしたいと思っている人が増えていると感じてもいたので、「普段、頑張っている人が安心して休める場所、隠れ家にしたい」と、会員制のブックホテルにすることにしました。

浜比嘉島には、琉球の戦国時代に敗れた武将が隠れて傷を治しに来たシヌグ堂という特別な場所があります。大きなガジュマルのご神木があってパワースポットにもなっており、歴史的にも武将が休む場所だったということも私の「浜比嘉別邸」への想いとピッタリで、ブックホテルをオープンしました。

-浜比嘉島にエネルギーが満ちているのは、どうしてなのでしょうか。

浜比嘉島には神が宿る島といわれる所以があり、沖縄にある島々のなかでもちょっと特別な場所だからだと思います。

沖縄で大切に受け継がれている「琉球神話」の中では、この世を創った創世神「アマミキヨ」は浜比嘉島に住んで子作りをする中で琉球の島々を作った、といわれており、アマミキヨのお墓「アマミチュー」があります。島内にある、アマミキヨが住んで子供をもうけたとされる洞窟「シルミチュー」は鳥居や参拝場があって、沖縄のユタさん(巫女さんのような存在)たちも定期的にお参りにくる場所。本土でいえば、伊勢神宮や出雲大社のような特別な場所です。



-浜比嘉島の暮らしにも、信仰が残っているのでしょうか。

沖縄は元々、普段の暮らしの中に祈りがあります。例えば、「ヒヌカン」という火の神様を台所に祀って家や家族の健康を祈る風習などですね。

「浜比嘉別邸」の近くに住むおじいさんは、神人(かみんちゅ)さんといって神事を司る人ですが、漁師さんでもあります。日本の神社では神事をする方は神主さんという役職ですが、ここ浜比嘉島では、普通の暮らしをしながら神事(かみごと)をするのが当たり前なんです。日本を代表する神社の神官さんが「浜比嘉別邸」にいらしたことがあるのですが、神官さんがいうには、日本の神社も元々は、日常の中に祈りがあり、今の沖縄と同じだったそうです。「浜比嘉島に昔ながらの沖縄の生活・風習が残っていることは、素晴らしいことだ」と仰っていました。

浜比嘉別邸 こだわりポイント

ブックホテルということで、本についてお伺いしてもいいですか。

浜比嘉別邸には、約1500冊の本があります。
もともとの私の蔵書1400冊、それに加えて100冊ぐらいが貰いものです。会員の中に作家さんがいらっしゃって浜比嘉別邸で執筆した本を寄贈してくださったり、出版社の編集部から蔵書のいくつかを譲り受けたりしました。本のジャンルは幅広いのですが、私が絵本作家で絵本セラピストもしているので、特に絵本の数が多く、400冊ぐらいあります。滞在中、ホテルの本は読み放題です。

どの本を読むか、選ぶのが大変な数ですね。

サービスの一つとして、お客様に合わせて選書をさせていただいています。ご予約をいただいた後のヒアリングから、私の直感でお客様のために10冊ぐらい本を選んでおくんですね、絵本と書籍と両方を。それを宿の本棚に出した状態でお客様をお出迎えしており、とても喜んでくださる方が多いです。

書斎やソファ、和室など、好きなところで思い思いに過ごせるのも宿の魅力ですよね。

そうですね。この宿は100歳のおばあちゃんが住んでいた古い民家を改装して作ったのですが、元々の沖縄の伝統的な間取りになっています。南向きの暖かい風が入ってきやすいところに縁側があって、風が通り抜けるようになっていて、安らげる雰囲気があります。

庭にある小さい畑では、琉球独特のハーブを育てています。チェックイン時にご用意するフットバスに入れたり、ご滞在中にハーブを使ってバスソルト作りをしたり、お風呂に入れて薬草風呂にしたりするのですが、使い終わった薬草は、捨てずにコンポストに入れて肥料にしてまた畑にして循環させています。

昔ながらの家を大事に使ったり、ハーブを地産地消したり、SDGsを意識されていらっしゃいますね。

意識しているというか、ここでの暮らしそのものがSDGsだと思っています。SDGsって本来は特別なものではなく、昔の人たちは SDGsな暮らしをしていたのに、私たちがだんだん離れていってしまっただけですから。

浜比嘉別邸は、昔ながらの自然に寄り添った暮らしを体験できる宿なんです。今の生活の中に出来る範囲で昔ながらの生活のエッセンスをおしゃれに取り入れて、さらにそこに本がいっぱいある感じ。

浜比嘉別邸がある集落にも昔ながらの暮らしが息づいていて、お散歩するだけでも楽しいですよ。三線やラジオの音が流れていて、おばあちゃんが畑に向かっていて、売店ではもずくの天ぷらが売られていて。

ご滞在中は、島の時間にどっぷり浸かっていただきたいですね。

浜比嘉別邸 宿泊プラン

ご宿泊のプランは一棟貸しとのことですが。

はい、一棟貸しで大人5名様までご利用可能です。基本プランは素泊まりで、連泊の場合と、お一人様でご利用の場合には割引させていただいています。

ホテルには、琉球風水にもとづいた間取りの和室2室、洋室1室、書斎1室、キッチンダイニング1室に、キッチン用品が完備されたシステムキッチンとお風呂、星空浴・月光浴を楽しめる屋上があります。


ベーシックなアメニティを完備しているほか、洗剤、洗濯機、乾燥機も付いています。キッズルームにはおもちゃもご用意しています。

お客様は何泊ぐらいされるのでしょうか。

2泊が多いですかね。1泊は身体がやっと慣れてきたくらいで帰るので、もったいないんです。1 泊で来た方は必ず「 1泊なんかで来るんじゃなかった」と言われますし。

浜比嘉島の場が持つ力に影響を受けてか、島に入った瞬間から顔が緩む方が多いのですが、2泊3日ぐらいしていただくと、どんどん緩んでいきます。いつもはガチガチに防衛をして生きている方が、鎧を脱ぐことができたという感じ。ここは鎧を脱いでも大丈夫、という何かがあるのかもしれないですね。本がいっぱいある空間って落ち着くじゃないですか。あとは12帖の和室があるので、和室も落ち着くし。島の空気と宿の空気の相乗効果に浸ってゆっくり落ち着くには、連泊をおすすめしています。

-お食事は皆さんどうされていらっしゃるのですか。

オプションで天才出張シェフのフルコース料理のご用意が可能です。沖縄のシェフが地元の食材を使って作るのですが、本当に素晴らしいんですよ。

シェフは地元の農家さんたちと密接に関わっていて、畑まで行って食材を貰うこともあるので、料理を作っているときに沖縄の農家さんがどんな思いで作物を作っているかという話を聞くことができます。このシェフさん、自分で船に乗って魚を獲ってすごく新鮮な状態で魚を持ってくることもあるので、沖縄の伝統的な漁のことや沖縄の漁師さんの話もしてくださいます。夕食は、出張シェフを予約される方が多いですね。

島にはお食事どころもありますので、もちろん、外で食べていただくことも可能です。

浜比嘉別邸 おすすめアクティビティ

滞在中のおすすめのアクティビティはありますか。

「神の島スピリチュアルツアー(要事前予約)」に参加される方が多いです。沖縄を代表するパワースポット・浜比嘉島の周辺には数えきれないほどの御嶽・霊域があるのですが、その方が最も必要とするパワーがある霊域、パワースポットへと、島への敬意を払いながら、私がご案内しています。

ガジュマルのご神木がそびえ立つ森があるのですが、幅が10m以上あるガジュマルのすごさは言葉では言い表せません。ガジュマルを見ただけで泣く人もいるぐらいです。木に触ったり、寝転がったりして、森や樹と交流しながら島めぐりをします。

ほかには、人によっては、ビーチで瞑想をするプランも人気です。私は瞑想ファシリテーター資格を持っており、沖縄のビーチの木陰で瞑想すると本当に気持ちがいいんです。

「自然と一体になる」とよく言いますが、室内で瞑想するのと屋外で瞑想するのでは、レベルが違う深みがあります。ホテルにいらっしゃるお客様のなかには瞑想を習慣化されていらっしゃる方が多いのですが、目を開けたら海が視界に飛び込んでくるので、「こんな場所で瞑想するのは初めて」と喜んでいただいています。瞑想プランでは温かいコーヒーやさんぴん茶、お弁当を持っていくので、瞑想のあとはビーチピクニックが楽しめます。

海から数分のホテルなので、もちろんマリンアクティビティもできますよね。

宿にはSUPのレンタルサービスがあります(別荘会員は無料、ゲスト会員は有料)。また、島内で申し込める、サンライズやサンセットの時間にあわせたカヤックやSUPツアーもあり、とびきりの体験ができます。

周辺に島が連なっているので、海は比較的穏やか。橋でつながっているとはいっても離島なので、海の美しさは、それはもう格別です!

ほかにも浜比嘉島ならでは、という体験はありますか。

星がものすごく綺麗です。天の川は晴れればいつも見られます。宿の屋上にベンチを置いて、ずっと眺めていられます。月もすごく綺麗なんですよ。満月周辺の時は月光浴をして、新月周辺の時は満天の星を眺めて。夜の自然も最高です。

あとはツアーではないのですが、島の中で行事がいろいろあります。豊年祭という秋のお祭りにお客様と一緒に出たこともありますし、一緒にビーチクリーンに行くこともあります。お客様と一緒に島の暮らしを体験すると、島の人が喜んでくれるし、お客様も楽しい。良い時間だなって思います。

浜比嘉別邸からのメッセージ

「旅癒」読者様向けにメッセージはありますか。

浜比嘉別邸は、会員制のホテルということで、ちょっとだけ普通のホテルとは違います。
基本的には会員制で、お泊まりになる方だけが利用できる空間です。
ただし、いきなりどんな場所かもわからずに申込みはできないので、初回のみ「お泊まり体験」として、お試しでのご予約を承っています。そこで会員制のご説明をさせていただき、ご納得された方のみご入会いただいて、別荘感覚で、島の暮らしをご堪能いただいています。


住所の詳細もご予約をいただいてからお伝えをしています。「泊まらないけど、ちょっとだけ中を見たい」というお問い合わせをいただくことがありますが、申し訳ありませんが、見学はお断りをしています。

どうして会員制にしているかというと、それはやはり、浜比嘉島が神の島だからです。
島全体に神聖な雰囲気が流れていて、島に住んでいる方には普通の生活がある。この島への最大限の敬意と配慮が、「会員制」という形になっています。

それをご理解いただいたうえで、会員の皆様は「離島のシェア別荘」としての浜比嘉別邸を楽しんでくださっています。

皆さまの浜比嘉島、別邸でのご滞在がよりよいものになるよう、ご予約からご到着まで、丁寧にやり取りをさせていただくのも、浜比嘉別邸の特徴です。ご予約後にLINEへのご登録をお願いして、どんなご旅行がしたいか、お食事はどうされるか、申し込まれたいツアーはあるかなどをお伺いしながら、お客様に合ったご提案をさせていただきます。

まずは一度、浜比嘉別邸の「お寺のような静謐な空間」をご体験ください。

浜比嘉別邸の情報

ホテル名:海と本と琉球ハーブの宿  浜比嘉別邸

住所:沖縄県うるま市勝連浜(住所詳細非公開)

アクセス:
【車】
那覇空港 → 沖縄高速自動車道にのり、沖縄北インター下車(ここから 約30分)那覇空港からのアクセス 所要時間:約1時間10分

【タクシー】
那覇空港から約1時間15分/9000円

【高速バス】
那覇空港より高速バス(111番)にて沖縄北インター下車(約1時間)
その後タクシー利用(約30分/約4000円)

美星タクシー    098-978-2535
勝連交通合同会社 098-972-3308

■今回お話をうかがった方

「浜比嘉別邸」オーナー 永元深智(ながもと・みち)氏

作家、編集者、出版社「絵本スタジオ アコークロー 」代表
絵本セラピスト(絵本セラピスト協会認定)、瞑想ファシリテーター(BODY MIND SPIRITS認定)

東京にて出版社勤務。世界各地を回った後、雑誌『沖縄スタイル』(えい出版)編集部、新聞社「沖縄タイムス」かなさうちなーむん編集部編集長を経て、現職。
著書5冊、絵本5冊、沖縄に関する執筆記事は300本以上。2022年3月に「浜比嘉別邸」をオープン

■編集後記

こちらの別邸は「海と本とお昼寝の宿」をコンセプトにしているだけあって、蔵書の多さに驚きました。絵本セラピストの資格を持つオーナーの永元さんにセレクトしてもらえる選書サービスは、ぜひ受けてみたいところ。今の自分に必要としているメッセージをもらえそうです。本以外にも、沖縄の生活に触れてみたり、波の音を聞きながら海をボーっと見てみたり。五感が解放され、心穏やかな気持ちになれそうです。
今回の取材を通して初めて知った浜比嘉島。沖縄の人々から大切にされている「神の島」は、滞在するだけで何かが変わるような気がします。ゆったりした時間を過ごしながらも明日への活力をもらえそうな、そんな隠れ家的ホテルでした。

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