元湯陣屋の客室の中で、特筆すべきなのは「松風の間」です。

三間続きの贅沢な造りの貴賓室「松風」は、明治時代、旧黒田藩（黒田家）が大磯に構えていた別邸に明治天皇をお迎えする為に、特別に作り上げたお部屋です。大正時代に三井財閥の手によって、現在の場所、陣屋へ移築されました。

陣屋は、昭和に入ると時代を代表する将棋や囲碁の名棋士たちが王座を争う場として知られるようになり、現在も数々の将棋・囲碁の名勝負が行われております。

今迄行われたタイトル戦は300以上。平成23年の第52期王位戦では羽生善治氏が王位を獲得し、大山康晴十五世名人の不滅の大記録、通算80勝に並ぶ歴史的偉業がこの松風の間で達成されました。

2023年には世界的庭園デザイナー・石原和幸氏のプロデュースのもと、「松風」の庭園を大幅にリニューアル。お部屋から四季折々の庭園の美しさをゆっくりとご堪能いただけます。

「元湯陣屋」の魅力の一つは、一万坪の広大な庭園です。四季折々の表情を見せる木々や草花、趣向を凝らした池や滝が織りなす風景は、一歩足を踏み入れればもう別天地。

桜が咲き、沢蟹がたわむれ、蛍が舞い、鳥がさえずる。

草花や生きものたちを眺めてみたり、歴史を刻んだいくつもの物語に想像を巡らせてみたり。まるで自然の美術館にいるような時間をお楽しみいただけます。

陣屋がある鶴巻温泉のお湯は、丹沢山魂の地下深くから湧き出ています。カルシウムたっぷりの塩化物泉で、古くからリュウマチ、神経痛、外傷、胃腸病（飲用）に効果がある湯として知られていました。

陣屋のお湯は神奈川県で飲泉の許可を得た源泉第一号。健康的な肌に欠かせないカルシウムを皮膚から直接吸収し、引き締めによるハリ・美肌にも効果があるとされています。刺激が少なく、さっぱりとした柔らかいお湯は、カルシウムとナトリウムの2つの成分があることで科学的には、石鹸で洗い流した様な効果があるといわれています。

陣屋のお湯は、館内にある内湯と、庭園を眺められる露天風呂でお楽しみいただけます。

また、裏山を登った高台には山荘露天風呂があり、ほてった肌に心地のよい微風を感じながら、自然の中でゆったりと手足を伸ばしてお湯に浸かれます。
（屋根がついていない露天風呂ですので、悪天候時の利用有無は現地にてご検討ください）

元湯陣屋では、お客さまの情報をITで共有することで、より素早くより良いサービスを提供しています。

2009年、経営不振だった「元湯陣屋」に当時エンジニアだった現オーナーが就任し、経営改革を行いました。現場の問題点を分析した結果見えてきた課題は、スタッフ間の情報共有が十分に行われていなかったこと。そこで、クラウド型旅館・ホテルシステム「陣屋コネクト」を自社で開発。顧客情報、予約管理、売り上げ分析、会計処理、原価管理、アンケート分析などを全スタッフで共有することで、無駄を省いて生産性を高め、よりお客さまへのサービスに集中できるようになりました。

この「陣屋コネクト」は2018年に日本サービス大賞の総務大臣賞を受賞、その後も進化を続けており、最新の技術で、きめ細やかな「おもてなし」を実現しています。

「陣屋コネクト」は、旅館の運営効率化にも貢献するだけでなく、お客様の快適な滞在をサポートしています。

スタッフはスマートフォンやPC・タブレットを活用して、クラウドを通じてリアルタイムで情報やお客様の行動を共有。お客さまの到着からお食事、入浴のタイミング、アレルギーの有無、お酒の好み、お誕生日などを逐次入力することで、お客さまひとり一人の好みやタイミングにあわせて、迅速できめ細やかなサービスを提供しています。

お客さまは「陣屋コネクト」の予約エンジンからWEB経由でご予約をすることで、宿泊プランだけでなく、オプションとして提供される館内のサービスや近隣のアクティビティも事前の手配が可能です。

到着されてからも、館内施設の予約、食事のオーダー、スタッフへの要望などはすべてスマホで可能。貸切風呂の空き状況やコインランドリーの使用状況もリアルタイムで知ることができます。この「陣屋コネクト」は、現在全国550以上の旅館やホテルで利用され地域観光・宿泊業に貢献をしています。