富士山のチカラをいただく滞在型ホリスティックセミナーハウス
【日月倶楽部】

~富士山麓の国立公園内で、天と地を体感する~

富士箱根伊豆国立公園内、朝霧高原にある日月倶楽部は、医師監修の各種ヘルスプログラムを通して心身のリフレッシュ・自然体感・自然欠乏対策ができる、日本初の滞在・体感型施設です。

約20,000坪という広大な敷地内には、富士山頂の雄大さを体感できるメゾネットタイプの母屋、全天候型クリアドームテント、富士山が展望できるひのき風呂などの施設に加えて、山梨県境から駿河湾までの稜線を一望できるツリーテラスや、富士山を背景にした能舞台などがあります。

今回はオーナーの山本竜隆氏に、日月倶楽部の誕生秘話や、現代人に増えている自然欠乏症、その対策として日月倶楽部で体験できるプログラムなどについてお聞きしました。

●目次

欧米式の統合医療を日本で実践したい ~朝霧公園に日月倶楽部ができるまで~

-まずは開業された経緯をお伺いできますか。

私は内科医なのですが、病気の診断・治療もさることながら、もともとは健康増進や予防医療に興味を持っていました。

統合医療ってご存じでしょうか。西洋医学と代替療法を組み合わせた医療のことで、代替医療とは、ハーブやアロマなどを用いた植物療法や、気候や地形を利用した森林療法のことをいいます。私が医学の道を志したのは、この統合医療を現場で実践して、健康増進や地域医療に貢献したいと思ったからです。

ところが、日本の医学部で勉強することは病気の診断と治療が中心の西洋医学でした。自分が思い描いている統合医療の勉強は日本では難しいのではないか。そう思い悩んで調べたところ、アメリカやヨーロッパでは統合医療もかなり現場で取り入れられていることが分かったんです。そこで2000年から2年間、アリゾナ大学で統合医療の研修プログラムに参加しました。

アメリカでの研修を終えて帰国した後は、東京の四ツ谷に統合医療のクリニックを開設。ありがたいことに全国から多くの患者さんに来ていただきました。ただ、患者さんはほとんどが既になにかしらの病気をお持ちという状況で、最初に志していた健康増進、予防医学の浸透、地域医療の発展という医療とはかけ離れてしまっていたんです。

「自分がやりたい医療を貫くにはどうしたらいいのか」

アリゾナ大学の指導教授に焦燥感を打ち明けたところ、ヨーロッパに行って統合医療先進国を見てくれば、とアドバイスを受けました。そこから5年間、ドイツとイタリアを中心に、田舎の医療モデルというか、ウェルネスツーリズムを実践している医療機関をずっと回りました。

日本では田舎の医療過疎が社会問題になっていますが、イタリアでは若いドクターが僻地医療を志向し、田舎を取り合うんですよ。素晴らしい森の中で地域医療とウェルネスツーリズム両輪で経営しているビジネスモデルが山ほどあって、「自分がやりたいのは、これだ!」と、目から鱗の発見でした。

 

-ヨーロッパ式の統合医療が目指す医療の姿だったのですね。

はい。ただ、ヨーロッパ式の統合医療を日本でやるためには、条件に適した土地が必要でした。

長期休暇が当たり前のヨーロッパとは違い、日本では数週間単位の休みが取れる人はなかなかいません。そのため、東京から週末で行けるような距離でなくてはなりません。

それから標高も大切です。世界の気候療法学会では、中山保養地といって300~1,000mぐらいの標高が健康増進に良いとされています。中山気候のなかで過ごせる環境、丘陵地帯で森林の多い場所が理想でした。

加えてドイツやイタリアの先生からは、最低10,000坪以上の土地、できれば広葉樹林と針葉樹林が生えていて、水源がある森を自分で管理して運営したほうがいい、というアドバイスを受けてました。

日本国内でどの場所が適しているんだろう、と、色々な条件を自分の中でまとめながら、希望の土地を見つけるまでに5年間費やしました。週末はほぼ東京を離れて土地探し。福島のいわきや千葉に足を運び、伊豆半島や山梨エリアはほとんど全部回りましたね。

最終的に出会ったのが、ここ朝霧高原です。遥かに太平洋や伊豆半島を見渡せて富士山の眺望を併せ持つ高台に、豊かな水源をたたえた20,000坪の森。この上ない立地、自然環境でした。

この地でヨーロッパのように地域医療とウェルネスツーリズムに取り組もう。そう決めて、朝霧村は無医村だったのでまずは15年前に診療所を開業しました。その後8年前に日月倶楽部を始めたという経緯です。

他に関連施設として、富士山静養園というリトリート施設があります。24,000坪の敷地内には森や滝、湧き水でできた池などがあり、かなり自然豊かな場所です。そちらはリトリート専門施設なので、一般公開していません。テーマに沿ったプログラムを主催する際のみご利用可能です。

自然との関わりは足りていますか? ~自然欠乏症候群~

自然欠乏症候群という言葉を今回初めて聞いたのですが、どのようなものかお聞きしてもいいですか。

自然欠乏症候群とは、自然との関わりが少ないほど、生活習慣病や慢性疲労、不眠など、さまざまな病気の発症率が高くなるという症状のことをいいます。

リチャード・ループというアメリカの科学者が2005年に著書『あなたの子どもには自然が足りない(邦題)』の中で使い始めた言葉です。自然との関わりが少ない子供ほど病気の発症率が高いということは、統計的にも実証されています。

自然環境に身を置いて五感を使った体験をする子供たちは、おおむね健康で思考力やコミュニケーション能力、想像力がよく育ちます。経済産業省が「社会人基礎力」というものを提唱していますが、そのなかで述べられている力は、自然の中で過ごすことで伸びていくのが分かったんです。

猿から進化した私たち人間は、たった二世代前までは、日の出入りに合わせた生活を送ってきました。それが現代では、日が暮れてから夜遅くまで働いたり、電磁波を浴び続けたり、化学物質を口にする機会が多かったりと、生活環境と体内環境が激変しています。

都会で暮らしていると、アスファルトやコンクリートの上しか歩かないとか、自然の音を聞いていないとかいう状態が普通になってしまいます。ただ、私たちの身体には過去の何百年、何千年の遺伝の蓄積がある。現代生活では身体にかなりの負荷がかかっているだろうことは容易に想像できます。

症状の改善には意識的に自然に触れて心身をリセットしたり五感を広げたりすることが大切です。この日月倶楽部や富士山静養園は、心身のリフレッシュに加えて、自然体感を通して自然欠乏対策ができる場所です。

<自然欠乏症セルフチェックリスト>


自然欠乏症候群かどうかというのは、具体的にはどう判断するんでしょうか。

セルフチェックリストでも判断はできますが、良導絡検査をすれば、自律神経のバランスから心と身体の状態がわかります。良導絡検査とは、機械で皮膚に微弱な電流を通し、交感神経の興奮性から自律神経のバランスを確認する5分くらいの簡単な検査で、痛みはありません。

この検査をすると、自律神経だけでなく、五臓六腑という東洋医学的な臓器のバランスがどう崩れているのかも分かります。

東洋医学では人体を小宇宙、自然界の一部だと考えていて、自然界の要素を五臓六腑に当てはめて捉えます。この検査をすることで、今は木との親和性が高い、土との親和性が高い、水との親和性が高いということが分かるので、散歩やヨガなどのアクティビティをするときに、森の中でしたほうがいいのか、水辺でしたほうがいいのかということが見えてきます。

検査では先天的なものと後天的なものが半々ぐらい出るといわれているので、滞在プログラムの最初にこの検査をやっていただくと、その時の親和性に合ったプログラムをご提案することが可能です。

森の自然を知り尽くしたスタッフと作り上げる、季節やテーマに応じたプログラム

-日月倶楽部で体験できるプログラムをいくつかご紹介いただけますか。

プログラムはテーマによって異なり、日月倶楽部で体験できるアクティビティを組み合わせたオーダーメードのプログラムを作ることも可能です。

例えば女性をメインターゲットにした森林療法やヨガ、植物療法やアロマセラピーを組み合わせたプログラムや、地域創生や地方創生に興味がある方をターゲットにリトリートをテーマにしたプログラム、企業研修用のプログラムなどがあります。

プログラムの詳細はいくつかホームページでご案内しているのですが、一例として、1泊2日の自然欠乏症候群改善プログラムをご案内します。
(ホームページはこちら >>> https://hitsuki-club.com/program/

◆◆医師監修 自然欠乏症候群 改善プログラム◆◆


プログラムは全てうちが主催しているわけではありません。テーマによって参加される方の属性が違いますので、20,000坪の敷地のどこでどんなことをするか、このテーマだったらこういう施設のほうがいいとかこういうやり方がいいとかを、主催者と話し合って決めます。

もちろん、初日のオリエンテーションはこんな感じとか、食事はこんな風に等といった基本はあります。そこに、より季節や場所に適したアドバイスをさせていただき、一緒にプログラムを作り上げていきます。例えば、ご来光ヨガをしたいというご希望があったら、「この季節ならこの時間、この場所がいいですよ」といった感じですね。

 

-そこまでしっかりアドバイスしていただけるんですね。

ご満足いただくためには欠かせないですね。日月倶楽部も富士山静養園も豊かな自然に囲まれていますが、自然相手は大変なものです。

標高が高いので、避暑と行楽を兼ねて夏にプログラムを開催されたいというご希望が多いのですが、夏山はヘビがいるし、もちろん刺すような虫もいます。焚き火で自炊がしたいというリクエストをいただいても、ガスコンロでしかバーベキューをしたことがない方ばかりだと、いつまでたっても火が点かない可能性もあります。逆に自然に慣れている方ですと、真冬の氷点下であっても焚き火をしながら冬の山の自然を楽しめます。参加される方がどの程度自然に慣れているかによって、ケースバイケースでプログラムをご提案しています。

また、森の管理や施設のメンテナンスはスタッフが平日に行っているので、季節の特徴や敷地内の状況を理解してアドバイスができます。

敷地内に水源がいくつかあって、100年前からの湧き水や富士山の雪解け水が飲めるのですが、富士山の地下水系はいろいろで、湧き水にも特徴があるんですよ。ここの水源は100年前のものだけど、こっちのは雨水が多いよといった案内は、森を知っていないとできません。また、森の自然は変わります。この時期はここが滑りやすいよとか、今この木が枯れているから風が吹くときは下を通らないほうがいいよとか。スタッフはメンテナンスをしながら森の状態を把握した上で、お客様がより自然に触れ合えるようご案内しています。

日月倶楽部の公式情報

宿泊施設名:日月倶楽部

住所:〒418-0108 静岡県富士宮市猪之頭2271

TEL:00544-52-2611

アクセス
【車】
東名高速富士IC国道139号線バイパス北上、田貫湖方面へ向かう。

【電車】
JR東海身延線富士宮駅下車 タクシーで約30分/料金5000円程度。

JR東海道新幹線利用、新富士宮駅下車。
路線バスで白糸の滝バス停下車。その後タクシー利用。
須走タクシー白糸営業所(白糸の滝バス停横)TEL:0544-54-0119

【高速バス】
JR東京駅八重洲南口から白糸の滝バス停まで。
その後タクシー利用。

富士急線休暇村富士行き30分田貫湖南下車徒歩約2分。
※高速バスや路線バスは運休・減便の場合があります。
必ずバス会社へお問い合わせください。

■今回お話をうかがった方

山本竜隆(やまもと・たつたか) 氏

医師・医学博士 
朝霧高原診療所 院長 
WELLNESS UNION(富士山静養園・日月倶楽部)代表
昭和大学医学部客員教授・聖マリアンナ医科大学非常勤講師

1966年 神奈川県生まれ 聖マリアンナ医科大学、昭和大学医学部大学院卒業。内科研修・医学研究の後は「アンドルー・ワイル」が主催する米国アリゾナ大学医学部統合医療プログラムAssociate Fellow(2000年~2002年)をアジアで初めて修了。その後、統合医療ビレッジグループ総院長(東京・四谷)、JA中伊豆温泉病院内科医長、(株)小糸製作所静岡工場診療所所長・産業医などを経て現職。 

自ら湧き水や薪での生活をしつつ、地域医療とヘルスツーリズムの両輪で、地域活性や自然欠乏症候群の提唱などの活動をしている。

●下記記事も読まれています